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昨夜、スジゴケ属だろうと思って採集した植物体を観察した。顕微鏡を覗いたとたんに、以前どこかで見たことがあるという思いを強くした。しかし、それがいつのことだったのか、さらに、この植物体の正体が何だったのかは、どうしても思い出せなかった。 今朝になって、2年前の1月頃に同じような植物体を採集して「たわごと」に記したことを思い出した。改めてその日の雑文を開いてみると、「シダの前葉体だった!」(2007.1.18)というタイトルで、同じ植物体の観察結果が記されていた。自力で解決できなかったことも記されている。 この標本にはNo.602という標本番号を与えてあったので、以後この「No.602」は欠番とした。「観察覚書」には掲載しないので、「たわごと」に記録として残しておくことにした。
今朝はあらためて、わが身の記憶力の悪さを痛感した。小学生時代からずっと人並み外れて記憶力が悪かった。かけ算の九九が覚えられず、教員からはいつも罵られていた。その後も生物とか歴史といった記憶力が必要な科目では、常に「おちこぼれ」だった。 |
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3月8日に栃木県で、日陰の林道脇のジメジメした石灰岩壁に着いていた緑色の植物を採集した。苔類だろうと思い、花被か凾ネどをつけた個体がないかルーペで探したが、それらしい組織をつけたものは見つからなかった。現地では、スジゴケ属 Riccardia かフタマタゴケ属 Metzgeria の苔類だろうと思って持ち帰っていた。すぐに観察せず2週間ほど放置してしまった。 植物体は、細い帯状で、長さ6〜20mm、幅0.2〜0.5mm、茎や中肋部のようなものはなく、全体が一層の細胞からなり、随所で枝分かれし、全体は扁平である(e)。二股状の分枝は全くみられない。葉状体の縁や先端には、新芽あるいは無性芽のような組織が見られる(f)。一部の葉状体では、縁や腹面から粘液毛あるいは仮根のような茶色の組織をつけている(g)。 葉身細胞は五角形〜六角形で、長さ45〜120μm、トリゴンは全くなく、壁は非常に薄い。採集してから時間が経過しすぎたからか、油体はみられない(i, j)。葉状体の部分を横断面で切ってみると、中央部から端まで、薄膜の細胞が1層に並んでいる(k, l)。
昨年秋頃から、苔類はあまり採集していない。というのも、花被ないし凾つけていないと、同定が非常に困難であることを痛感したことによる。苔類に関しては、原則として花被なり凾つけた個体が見つからない場合は、採集そのものをやめてきた。 |
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