久しぶりにスギゴケの仲間を観察した。凾つけた個体はなかったが、乾燥状態のものをみると、ウマスギゴケかオオスギゴケに間違いない。葉の鞘部の透明な細胞は長さ60〜110μm。葉の薄板は腹面上側からみて横長の矩形の列で(h)、葉横断面をみると6〜7細胞高(i, k)、端細胞は断面で凹型(i)、横から見ると凸凹している(k)。鞘部には薄板はなく(j)、茎の横断面には中心柱があって、表皮は厚膜の小さな細胞からなる(l)。
園芸店では大型のスギゴケの仲間を「スギゴケ」の名称で、小型のスギゴケ類を「コスギゴケ」の商品名で販売しているようだ。この「スギゴケ」はウマスギゴケ Polytrichum commune かオオスギゴケ P. formosum であって、スギゴケ P. juniperinum であることはほとんどない。一方、「コスギゴケ」は実際にコスギゴケ Pogonatum inflexum もあるが、ヒメスギゴケ P. neesii やシンモエスギゴケ P. nipponicum ばかりのこともしばしばあった。したがって、スギゴケ科蘚類を栽培している農家に尋ねると、スギゴケかコスギゴケの名前が帰ってくる。
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