[その2] |
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ヒトヨタケを早朝採取してきたので、溶け出さないうちにヒダ切片を作り覗いてみた。側シスチジアが実に鮮やかにつっかえ棒(支柱)の役割を果たしている。柄を取り去って傘を紙の上に置き、カミソリを垂直に入れ(j)てできた切断面を見た。多数のヒダからなる切断面(k)は真っ黒で、この時点ですでにヒダは縁からかなり溶け出していた。 切り口をルーペで見ると(a)、ヒダは平行な板状で、隣り合うヒダとヒダとの間にはつっかえ棒がキラキラ輝いて見える。同じ面を実体鏡の下で見たのが(b)だ。顕微鏡で覗くために薄い切片を切り出し、水でマウントしたプレパラートを作った。主に支柱(側シスチジア)に焦点を合わせて(c)〜(e)と倍率を上げてみた。隣同士のヒダが密着しないように、多くの支柱がヒダ面に垂直にたっている。そして支柱の先端は隣のヒダの実質に刺さっている(e)。これをほぐして側シスチジア本体をとりだしたのが(f)だ。 胞子(g)は7.5〜11.5×5〜6.5μmほど、胞子紋(i)は30分ほどでたっぷりとれ、しみ出した水分で濾紙にシミができた。プレパラートを20分も放置しておくと、ヒダ実質やシスチジアは殆ど溶けてしまい、(h)のような姿になってしまった。こうなると、もはや側シスチジアやヒダ実質はどこにいったのやら全くわからない。朝食前の早朝観測だった。 |
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