2002年4月22日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
 シロフクロタケというと、ただ白いだけでドテッと大きくて姿が単調なので被写体としては面白みに欠けると、しばしば聞く。しかし顕微鏡の下の世界はどうなのだろう。
 早朝まだ暗いうちに見沼まで出向いてシロフクロタケを持ち帰った。まずヒダ切片を低倍率(50倍)でのぞくと(a)のように逆散開型だった。一段倍率を上げる(b)と子実層托実質がより明瞭にわかる。もう一段倍率を上げる(c)と担子器や側シスチジアをなんとかみつけることができる 。側シスチジア(d, e)は案外小さく数もとても少ない。担子器(f, g)を異なる倍率でみたが、あまり倍率を上げると2担子型なのか4担子型なのかといったようなことは、一目ではわからなくなる。このシロフクロタケは4担子型だ。胞子(h)は13〜15.5×7.5〜9.5μmほどのサイズだった。おもしろいことにフクロタケの仲間の多くは、ヒダは白色をしていても胞子紋(i)は淡い赤褐色からピンク系の色をしている。
 ここでは取り上げなか ったが、傘の肉、傘の表面構造、柄の肉、柄の表面などからも切片をつくって観察してみた。シロフクロタケは顕微鏡の切片作りなどの練習にはとても適した素材だと思う。きのこ自体がかなりしっかりしており、ピスをうまく使えなくても比較的薄い切片が作りやすい。また傘・柄ともに表皮がすんなり剥がれるので、この切片もとても楽に作れる。そして、低倍率でも担子器やら組織構造が明瞭にわかる。ヒトヨタケ科の溶けるきのこなどに比べたら雲泥の差だ。

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