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ヒメコガサ(6/26c)は見かけこそ地味で目立たない小さなきのこだが、ミクロの世界ではとても豊かな表情を見せてくれる。ちいさな傘をひっくり返してみると、ヒダと柄には小さな毛のようなものが無数についている(a)。 ヒダから切り出した切片(b)をみるとその正体が大きなシスチジアらしきものだと分かる。ヒダの先端(c)には多数の縁シスチジアが、そして側面(d)にも多数の側シスチジアがみられる。さらに柄の表面(e, f)にも同じようなかたちのシスチジアがみられる。傘表面(g)の菌糸は「放射状の匍匐菌糸」と表現されることが多い。担子器(h)はなかなかうまく撮影できなかった。胞子(i)はアーモンド型をしている[スケールは1目盛りが1μm]。図鑑などの記述では「胞子は卵形〜類アーモンド形で胞子盤を有し、それ以外の部分は外被におおわれ仮面状」と記述される。撮影データからは仮面の様子ははっきりとはわかりにくい。なお、菌糸にはシスチジアがある。 なお、今回採取した個体は傘径5mmほどの小さな若い個体だったせいか胞子サイズはやや小ぶりのように感じた。担子器やら仮面状胞子については、いま少し上質の対物レンズを使って撮影すれば明瞭に写ることだろう。 先に採取したミミナミハタケ属(6/26j, k)であるが、ヒダ実質をメルツァー液で染めてみる(j)と綺麗にアミロイド反応を示した。胞子(k)は広卵形から類球形でアミロイド[スケールは1目盛りが1μm]。ということは、「北海道からのみ知られている」というキツネナミハタケ(Lentinellus vulpinus (Sow.:Fr.) Kuhn. & Maire)の可能性が大きい。 |
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