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以前はチチタケを採取することはほとんどなかった。数年前の秋、栃木県の屋台でチチタケうどんを食べて以来、チチタケに独特の旨味を感じるようになった。それ以降は採取したものは観察することもなく、当然のようにそのまますべて食用に回ることになってしまった。だから顕微鏡で観察しようなどとは全く考えることはなかった。 久しぶりに顕微鏡で覗いてみた。シスチジアがどんな形をしていたのかすらすっかり忘れていた。切片(a, b)を切り出してちょっとみたところ、低倍率でも担子器やシスチジアらしき姿がなんとなくみえた。(b)は分厚い切片だが、胞子をつけた担子器がなんと なくわかる。ヒダの縁を拡大してみるとヤリの穂先のような側シスチジア(c)がみえる。 さらに倍率をあげてみると(d)そのシスチジアは厚膜のものだ。担子器(e)の撮影はうまくいかなかった。メルツァー液で染色した胞子(f)は典型的なチチタケ属の姿を見せてくれ る。なおスケールの1目盛りは1μmだ。 久しぶりにチチタケ属の切片をつくることになったが、乳液のせいかカミソリがすぐに切れなくなる。また薄い切片を作ろうとすると乳液に邪魔されて、なかなか思い通りのものが切り出せなかった。途中で妥協してやや厚めのままで観察することになった。 |
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