2002年10月31日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
  上州武尊の標高1500メートルあたりで多数発生していた盤菌(a)は、何の疑問も無くムラサキゴムタケだろうと思っていた。やや若い菌と成菌を持ち帰ったので、すぐに切片(b)を切り出して少し倍率を上げてみた(c)。さらに倍率を上げて子嚢(d)を見て、ここまでの観察からほぼムラサキゴムタケに間違いなかろうと判断した。念のためにメルツァー液をたらすと子嚢先端が綺麗にアミロイド反応を示した(e)。胞子(f)をよく見ると4〜5つの隔壁を持つようにもみえる。
 しかし、持ち帰った成菌は完全には熟していなかった。小さな未熟胞子ばかりを格納した子嚢がやたらに多い。最初に見たときにムラサキゴムタケだろうと思い込んでしまったために、十分に熟した個体を採取しなかったことが悔やまれる。成熟した胞子に見られる明瞭な隔壁や胞子表面に付着する分生子、これらを確認できないと、この子嚢菌がムラサキゴムタケであるとの結論は出せない。結局この盤菌はムラサキゴムタケの可能性が高いが違うかもしれない、という結論に落ちてしまった。したがって、これまた「キノコのフォトアルバム」には追加できない。
 つい習慣でバイク置き場に行ってみた。そこに馴染みのバイクは無い。そうだ、廃車にしたんだ...。15年以上も親しんできただけに、淋しさをしみじみと感じる。自宅から自転車でちょこっと行ってこられる距離に観察できる自然環境はない。

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