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一昨日見沼地区で採取したヒメキクラゲを顕微鏡で覗いてみた。ヒメキクラゲ科のきのこは生のブヨブヨ状態のまま薄切り切片を作るのは非常に難しいので、まる一日部屋の外に放置して少し乾燥させた。完全に乾ききると非常に硬くなりやはり薄切りは難しい。そこでカラカラになる少し前、ほぼ乾燥した状態のものから切片を切り出した。 表面に近い部分を薄く切ってみると(a)、低倍率でも三層構造をなしているのが十分によくわかる。最外層のやや赤褐色にみえる部分は表面、次の赤紫色部分は担子器の層、その内側に網状の原菌糸からなるゼラチン層がみえる。ちなみに、フロキシンで染色している。さらに一段倍率をあげ(b)て表面近くをみると、表面に胞子もみえた。紫色に染まった担子器からは、とても長い端子柄が表面まで伸びている。胞子(c)はソーセージ型をしている。ゼラチン質に埋まった中には網状に原菌糸が縦横に広がっている(d)。 最初にほんのわずか厚すぎるかなと思える切片(e)を切り出して見たところ、三層の構造がとてもわかりにくかった。最外層から深くゼラチン質の原菌糸側に埋没した位置に担子器(f)が綺麗に並んでいるはずなのに、それが明瞭に判別できなかった。 今日の検鏡写真はケーラー照明を持った三眼顕微鏡で撮影した。最初観察していたときは単眼の簡易顕微鏡を使ってみていた。それでも十分(a)〜(d)のような映像は見られるのだが、デジカメで撮影したものはかなり不鮮明な画像となってしまう。簡易照明に問題があるのだろうが、肉眼で見たときと撮影したときとでは、鮮明さがかなり違う。そこで、あらためてケーラー照明を持った別の顕微鏡で撮影したものだ。対物レンズは普通のアクロマートである。これで、どうやら簡易顕微鏡を肉眼で覗いてみたときとほぼ同じ程度の映像が得られたように思う。 |
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