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先日(2003/1/18)千葉県南部の神社に寄ったとき、スダジイの老木から白い大きなキノコ(a)が何株も美しい姿をみせていた。一見したところ乾燥したマスタケかシロカイメンタケのように見えた。比較的低い位置に出ていた株の一部を持ち帰って観察したので結果をメモしておこう。 乾燥してひだの縁(b)は内側に巻き込んでいた。割ってみる(c)と傘肉は稠密な組織からなっており淡橙色をしている。管孔部の長さは20〜30mmほどある。管孔(d)は小さく3〜4個数/mmある。触った感触は、乾燥したニワトコの髄のようでとても軽い。この時点でシロカイメンタケだろうと見当をつけたが、検鏡してみないとなんともいえない。 最初管孔部から組織の一部を切り出して覗いたが、生殖菌糸しか見つからない(e)。結合菌糸は見つからない。傘肉部の組織(f)をみると骨格菌糸が見つかった。水だけだとほとんど何も見えないのでメルツァー液で染めた。さらに倍率を上げて見たところ、所々にクランプのようなものも見える。油浸100倍は使わなかったので胞子の観察はしていない。 マスタケあるいはアイカワタケならば、結合菌糸を持ちクランプは無いはずだから、姿形がよく似たシロカイメンタケだろうと判断した。乾いたときの感触もマスタケとは少し違う。 森林総研の服部氏にみていただいたところ、シロカイメンタケということであった。その中でも南方系のタイプで本州では採取例は少ないらしい。なお、シロカイメンタケの学名はTyromyces(Piptoporus) sambuceusというが、Sambucusというのは潅木のニワトコのことである。乾燥するとニワトコの髄の様な感触になることが学名の由来なのだろうか。 |
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