2003年3月11日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 今の時期の松林にはマツカサキノコモドキが多数見られる。傘の色は白っぽいものから、茶褐色、黒褐色に近いものまで実に変化に富んでいる。柄を見るとヒダの付近は白色だがすぐに黄色〜橙色となり、先端がマツボックリにつながっている。
 よく似たものにニセマツカサシメジがあるが、こちらの柄は傘表面と似たような色をしているものから白色まであり、多くは柄表面が白粉におおわれている。ただ、その白粉は成熟した菌や老菌では失われていることが多い。
 だから現実に出会うものは、傘・ヒダ・柄を見ればすぐに分かるような典型的なものばかりではない。11月、12月の頃には、一つのマツボックリからニセマツカサシメジとマツカサキノコモドキの両者が混生して出ていることも珍しくない。
 先日鹿島市で採取してきたマツカサキノコモドキのヒダを切り出してみた(a)。ヒダの周囲にゴミのようなものがついているが、これはシスチジアである。ヒダ先端(b)と側の一部(c)を拡大してみると、低倍率でもゴミが多数ついているような姿をしたシスチジアが見える。倍率を上げてみたり(d)、フロキシンで染めてみると(e, f)さらに明瞭にわかる。
 シスチジアの先端が分泌物におおわれていれば、ニセマツカサシメジではないと言い切ることができる。ヒダの疎密、柄の色・長さや基部の白毛の状態だけでは両者を見分けられない時などは顕微鏡が威力を発揮する。

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