2003年4月12日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 川口市ではまだ桑の樹は冬のままで、葉もほとんどついていない(a)。近づいてよくみると、ようやく蕾が色づいてきたばかりだ(b)。しかし、樹下にはキツネノワン(c)が出始めた。まだ数は少ないが、桑の花が一斉に開く頃になれば多くの姿をみることができそうだ。あと1週間から10日もすれば、キツネノヤリタケも一緒に顔を出すことだろう。すぐそばの桜の並木には12〜18cmほどにまで育ったアミガサタケ(d, e)がいくつも見られた。脇の神社には数十個の成菌がでていた。それにしても今年はいろいろなところで実によくアミガサタケにお目にかかる。
             
 
天然ピス (ピス)
各種のピス
 いわき市の奈良さんからいただいた天然ピス(雑記 2003/4/9)についての補足しておこう。素材はキブシ(Stachyurus praecox)というキブシ科キブシ属の落葉大低木だ。キブシは漢字で木五倍子と書き、早春を代表する木の一つでもあり、藤のように花が垂れ下がっているので、木藤(キフジ)とも呼ばれる。タンニンが果実に含まれるので、有機染料の黒色の原料であるフシ(付子=五倍子)の代わりとして使われてきた。昔は髄を燈心の代用とした地域もあり、古くから手ごろな髄を持っていることはよく知られていたようである。
 この髄はピスとしても非常に優れものである。ニワトコの髄は黄褐色で縦に繊維状のスジがみられるが、キブシの髄は白くてやわらかく目が詰まっている。どちらかというとヤマブキの髄によく似ている。腰の強いピスが必要な場合にはニワトコの髄に一歩譲るが、やわらかくてもろいヒダをもったきのこの切片などを切り出すには、ニワトコよりも使い勝手がよい。要はピスも適材適所で、相手によって使い分けるのがよいのだろう。

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