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先日の雑記(2003.6.10)でアカカバイロタケ?として取り上げたきのこは、アカカバイロタケではなさそうである。富山のHさんからメールをいただき、再検討したが不明のままとなりそうだ。 日光で出会ったきのこは他にもあった。コガネヌメリタケ(a)は残念ながらやや乾燥気味であり美しい黄金色の傘表面を見ることはできなかった。サンゴハリタケ(b, c)もやや乾燥しており先端が赤みを帯びていた。ツガサルノコシカケ(d, e)はとても新鮮な状態であり管孔部から水滴を滴らせた個体が数多く見られた。ミミナミハタケ属(f)については下記に記した。 |
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傘には顕著なシワ〜ウネ状の隆起はなく、基部に白色の軟毛を密生している(ma)。胞子紋は白色。カバーグラスに採取した胞子はアミロイドで、類球形〜広卵形のとても小さなものだ(mb)。その表面には微細な突起が見られる。ちょっとみたところはイタチナミハタケにみえる。 ヒダ切片(mc)を切り出してみると、ヒダの周縁は滑らかだ。少し倍率を上げるとひだ実質は平行型(md)。ところが、ヒダ先端(mf)やら縁をよくみると細くて尖ったシスチジア(のような細胞)や褐色の油脂様物質を含んだシスチジア、いわゆるgleohyphaがみられる(mg)。このgleohyphaはヒダ実質内部や傘にも多数見られる。 ヒダ実質の組織にはいたるところにクランプがある(mh)。その一方で隔壁のない厚膜の骨格菌糸がみられる(mi)。いわゆるdimiticという菌糸構造である。さらに傘表皮は平行に菌糸が走っている。この時点でほぼ間違いなくイタチナミハタケだろうと思った。 最後にヒダ全体にメルツァーをかけてしばらく経過をみた。しかし胞子以外はアミロイド反応を示さない(me)。担子器もヒダ実質もいずれもアミロイド反応は示さない(mj)。保育社「原色日本新菌類図鑑」や「石川のきのこ図鑑」などによれば、担子器やヒダ実質はアミロイドであると記述されている。またスイスの図鑑でもヒダ実質はアミロイドとある。 スイスの図鑑によれば、ミミナミハタケ属であると判断するのはとても容易だが、ではどの種であるかとなると同定はかなり難しいとある。イタチナミハタケに限りなく近いが、どうもそうとは言い切れなくなってしまった。「フォトアルバム」のイタチナミハタケへの追加掲載は中止である。 |
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