日光のオオワライタケ
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 先に日光で採取してきたオオワライタケ(a)の検鏡データの一部を取り上げた。傘表面に30%KOHをかけると直ちに赤黒色に変色した(b)。胞子(c)の表面には微細な疣がある。ヒダ切片(d)を切り出してみると、一見したところシスチジアの類は全く見られない。ヒダの側には担子器がずらっと並んでいる(e)。ヒダの先端をよく見ると、小さなシスチジアがあった(f)。低倍率ではシスチジアの存在はわからない。先端が風船のように膨らんだフラスコ型をしている。菌糸にはクランプがある(g)。担子器の基部にもクランプが見えた(h)。
 検鏡後に4〜5本が束生した株をさっと茹で、芥子醤油をつけて酒の肴にした。舌先にやや苦味が残った。1時間ほどして顔面の神経が軽く痙攣するような症状が現れたが、それ以上には進まなかった。無論幻覚などは味わうこともなかった。もっとも、アルコールの酔いがまわってその前に眠くなってしまったので、目が覚めたときには症状も消えていたのかもしれない。
 地域によっては熱湯に通したあと冷水で晒して食用にしていると聞く。確かに、こういった処理をすると苦味はわずかに残るが、毒成分もかなり希薄になるのか、中毒症状は緩和されるようだ。以前、同様の処理をして食べたときには顔面の神経痙攣などは全く起こらなかった。しかし、わざわざ「毒」とされるものを食べることはない。

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