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富士山からツチグリの幼菌(a)をいくつか持ち帰った。星型に裂開した状態のもの(d)を見かけたら、周辺を注意深くみると楽に見つかることが多い。わが国ではツチグリを食用にする風習はないが、東南アジアなどでは貴重な食料として親しまれている。缶詰は日本にも輸入されており、上野アメ横などではしばしばみかける。食用になるのはまだ内部が白色(b)の幼菌で、紫色(c)を帯びだしたらもはや食用にはなりにくい。 一般に腹菌類は成菌になると担子器は溶けて消失してしまう。内部が白い幼菌のグレバ(基本体)の一部を見ると、面白い形の担子器が一様に散在している(e)。担子器の形は球形の風船のようで、表面にいくつかの胞子を座生させている。観察した個体の胞子はまだ未熟でとても小さく表面も平滑だ(f)。さらに、偽弾糸はまだほとんど見られない。 しかし幼菌でもグレバが紫色を帯びた状態(c)になると、もはや担子器の姿はほとんど見られず(g)、偽弾糸の萌芽がところどころに見られる。胞子はまだ小さく表面のいぼも未完成で、いぼというよりも短い糸状にすら見える。 図鑑類には一般に成菌の様子が記述されているので、こういったことは書かれていない。成菌になると胞子の大きさや色は図鑑の記述にあるような姿になる。胞子の色は紫色から褐色に変わってくる(h)。偽弾糸も厚膜となり、ところどころで分岐を見せるようになる(i)。 |
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