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道端の地肌が露出した斜面に赤いチャワンタケがでていた(a)。ちょっと見た目にはニクアツベニサラタケかベニチャワンタケかはっきりしなかった。地中の材から出ていたのだが、柄はあるようにも見えるし無いようにもみえた。写真(a)のようなものばかりでなく、暗いえんじ色でかなり肉の厚いものもあった。未熟を承知でとりあえず数個体を持ち帰った。 今朝持ち帰ったすべての個体から、それぞれ切片を切り出して観察してみた(b)。倍率を少し上げてみると子嚢と側糸が並んで見える(c)。側糸の中には赤い色素を帯びた顆粒が密集している。胞子の形は楕円形なので、ニクアツベニサラタケの線はほぼ消える。 顕微鏡のステージに載せたままの状態でカバーグラスの隙間からメルツァー液を注いだ。見ているとじわじわと組織にメルツァーが染み込んでいく。メルツァーに触れたところから、次第に暗緑色に変わっていく(d)。やがてすべてが暗緑色に変わってしまった。側糸の中の色素顆粒がヨードで反応したようだ。胞子やら、子嚢の色には何も変化はない。 子嚢についてのみ言えばメルツァー反応はマイナス、つまり非アミロイドということになる。胞子についても同様である。したがって、図鑑類によってはメルツァー反応は陰性と書いたものも見られる。だが、側糸の中の色素はアミロイド反応を示している。顕微鏡などを使わずに、子嚢盤表面にイソジン(うがい薬)をたらしてみると、暗緑色にかわる様子がよくわかる。 これらはみな未熟個体だったために、胞子サイズなどがやや小さいが、ベニチャワンタケに間違いないだろう。ちなみに半日かけても胞子は全く採れなかった。 |
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