2003年9月16日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 13日に長野県菅平に到着したおり、観察会が始まるまでにはまだかなり時間のゆとりがあったので、峰の原のミズナラ・マツの斜面に入った。菅平のほかの地域はかなり乾燥していたにもかかわらず、場所によってはかなりよい湿り具合で、多くのきのこを観察することができた。
 今回の菌学会関東支部のワークショップのテーマは「硬質菌の分類と顕微鏡観察」なので、傘と柄をもったきのこは全く採取も撮影もせずにのんびりと歩いた。若干の多孔菌を採取してから地面をよくみると黒いヘラ状のきのこが多数でている(a)。遠くからチラっとみたときにはテングノメシガイ科のきのこのように見えた。最初深く考えることなく掘り出すと柄の根元が黄色くひどく枝分かれしている。この時点でツチダンゴに寄生するバッカクキンらしいと気がついた。今度は慎重にいくつかを掘り出してみた(b)。現場は樹木の根が縦横に張り巡らされたところなので、何度も掘り出しに失敗して7〜8個ほどギロチンをしてしまった。
 前にも何度も眺めていはいるのだが、今朝また薄切りにして覗いてみた。黒い頭部を切断すると周囲に多数の子嚢果が見える(c)。薄切りにすると成熟した子嚢があふれていた(d)。一部を拡大すると内部には細かい区切りを持った細長い一次胞子が見える(e)。この仲間の菌の子嚢先端(f)はどれもほとんど変わらない姿をしている。これはハナヤスリタケのようだ。

日( )