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このところの乾燥と高温のせいか、埼玉県南部ではきのこの姿がほとんどみられない。しかし硬質菌なら常時10数種類がみられる。今朝は近くの公園で採取した多孔菌(a)を覗いた。 はじめに組織の一部を薄切りにしてメルツァー液でマウントした(b)。菌糸も胞子も非アミロイドだが菌糸型はよくわからない。管孔部を再度切り出して倍率を上げたがシスチジアなどはみつからない(c)。胞子は2重の壁を持ち、截頭型(頭の一部を削いだような型)をしている(d, e)。この時点でコフキサルノコシカケとほぼ同定できるが、念のために菌糸型を確認した。 フロキシンで染めてから5%KOHでマウントしたものをそのまま見た(f)。薄切りにしたつもりだが、菌糸がゴチャゴチャして何が何だかわかりにくい。カバーグラスの上に消しゴムを当てて何度か軽くこすると塊状だった切片が雲状星雲のようになった。その状態で再び覗いてみると、クランプを持った原菌糸(g)や、骨格菌糸(h)、結合菌糸(i)が明瞭に捉えられた。消しゴムの威力は大きいが、強くこすり過ぎるとカバーグラスが割れてしまう。またあまり何度もこすっていると、組織が潰れてバラバラになってしまう(j)。 以上の検鏡結果だけを頼りに、Gilbertson & Rybarden に準拠した検索表に当たっていくと、Ganoderma(マンネンタケ属)に落ちる。現物の小さな破片しかなくても、Ganodermaまでは見当をつけることができる。フロキシンと消しゴムを活用すると同定がかなり楽になる。 |
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