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先日(12月14日)の菌懇会例会の折りに、岡山からはるばる飛行機に乗って運ばれてきたキシメジ節(Sect. Tricholoma)のきのこ(a〜d)を今朝覗いてみた。いくつかの個体の柄の上部にはクモ膜の残滓のようなものが残っていたのだが、今朝はもはや何も残っていない。傘表面は繊維状で粘性はない(c)。ヒダは典型的な湾生をしていて柄の内部は中空である(b, d)。 ヒダを一枚切り出してみたが縁にも側にもシスチジアはみられない(e)。ヒダ実質は並行型(f)。ヒダ実質部(g)やら傘肉、柄などをさんざん探したがクランプはどこにもない。最初水でマウントして子実層を見たが、透明でとてもわかりにくい。直ちにフロキシンを加えると鮮明になったが、担子器の基部の様子はわかりにくい(h)。そこで軽く押しつぶすと担子器が飛び出してきた(i)。担子器の基部にもクランプはみられない。 胞子も水で見たときよりもフロキシンで見た方が鮮明に捉えられた(j)。傘表皮は中央部から縁にかけて平行に並んだ細胞からなり所々で立ち上がっている(k, l)。しかし傘表皮を同心円状に切り出すとパイプ状の丸い断面が見えるために、傘表皮は整然とした球形の組織から成っているかのように見える。傘表皮のデータを比較する場合、切断方向は重要である。このきのこはハマシメジとしてよさそうだ。 |
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