2004年1月25日()
 
弾糸と偽弾糸
 
 腹菌類(Gasteromycetes)における弾糸と偽弾糸の定義を簡単に整理してみると、おおむね次の様になるのだろう。重要なのはコットンブルーで染めた時の反応である。
 ちなみに、capillitiumという語のcapillusは集合的に [毛] (hair)、-itiumは [帯びた、持った] (with, having) といった意味を添える語尾である。
 
  (true) capillitium paracapillitium
慣用訳弾糸偽弾糸
原 義細毛体偽細毛体(細毛様体)
特 徴厚壁で、多くは内腔あり、普通は褐色、隔壁は希ないし少ない、クランプはない
骨格菌糸(skeletal hyphae)に由来
薄膜で、透明、隔壁を持ち、ときに厚壁になる、クランプを持つこともある
原菌糸(generative hyphae)に由来
Cotton Bluecyanophilous
組織(細胞壁)が青く染まる
acyanophilous
組織(細胞壁)は青く染まらない
PhloxineB染まらないよく染まる

 今月21日、24日と観察したケシボウズの2種類の菌糸組織は、ちょっとみたところ薄膜の偽弾糸と厚壁の弾糸のようにみえるが、薄膜の菌糸はいずれも偽弾糸(paracapillitium)ではない。
 コットンブルーはなかなか染まりにくいので、蒸発しないようにコップなどをかぶせて一昼夜放置するとか、ライターなどで煮えないように注意して熱を加える必要がある。

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