2004年2月21日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 三重県のTさんからケシボウズのサンプルが届いた。そのうち最も新しく採取されたもの1点を調べてみた。2月15日に紀宝町の海岸で採取されたものだ(a〜d)。頭部には菌糸状の組織が網目のように、内皮の表面にこびりついて残っている。見ようによっては、若い時期には疣状の外皮に被われていたようにもとれるし、風化現象で外皮が網目状に残ったようにもとれる。外皮の様子は一見菌糸状(hyphal)だが、膜状(membranous)とも受け取れる。
 胞子表面の疣ないし針は案外大きく、まるで金平糖のようである(e, f)。弾糸には波打ったようなものが多い(g, h)。外皮を疣の残骸としての網目状と捉えるとTulostoma pusillumに落ちるし、そうではなく菌糸状の網目様残滓ととらえると、T. adhaerensという種に落ちる。T. adhaerensは愛知県伊良湖岬で採取例があるが、国内未発表種である。T. pusillumの場合も新産種ということになる。現時点では確実な同定は無理だが、いずれにせよ、ミイラではなく若い菌の観察が必要だと思われる。発生の最盛期と思われる7〜8月頃の観察が勝負だろう。

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