2004年9月5日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 日光へ行く途中の高速道路パーキングエリアで出会ったヌメリガサ科のキノコを早朝調べてみた。国産のヌメリガサ科はおおざっぱに、ひだ実質が並行型のアカヤマタケ属、散開型のヌメリガサ属、錯綜型のオトメノカサ属に分けられる。この3属は外見からも楽に類推できる。
 触れたり傷つけても変色性はなく、傘頂部は尖っている。傘表面は湿時ヌメリがあり、親ヒダは分枝したり横のヒダと繋がったりしている(a)。ひだ実質は細い菌糸からなる並行型(b)。胞子紋は白色、胞子は広卵形をしており、非アミロイド(c, d)。担子器には2つの担子柄をもち基部にクランプはみられない(e, f)。他の組織中にもクランプはなく、ヒダにシスチジアもみられない。
 これらの特徴などをみると、このきのこはトガリツキミタケとしてよさそうである。撮影はしなかったが、近くにはアキヤマタケ、アカヤマタケ、トガリベニヤマタケなどもみられた。
 胞子を付けた担子器をその基部まで捉えた写真というのはなかなか撮れない。担子器の先端に焦点を合わせると基部はピンぼけになり、基部にピントを合わせると頭部がピンぼけになってしまう。顕微鏡の高倍率における焦点深度はとても浅い。このような大きな担子器で、そのまま図に起こせるような写真(e)を撮影できることは非常に珍しい。

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