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今朝は先日の日光で採取したミミナミハタケ属のきのこを検鏡した(a)。現地では明るい色をしていたが、持ち帰って数日冷蔵庫に保管しておいたものは、やや暗い色になり(b)、ヒダも当初の白色から褐色に変わり始めていた(c)。 傘表皮、傘肉を含めてヒダの一部を切り出してメルツァー液をかけてみた。ヒダ部や傘肉部などにはアミロイド反応は見られない(d)。採取しておいた胞子紋から胞子を見ると小さくてとても見にくい(e)。メルツァー液を注ぐと灰青色に変わった(f)。アミロイドである。ヒダ実質部を拡大してみるがやはり非アミロイドであった(g)。念のために高倍率にして担子器を確認した(h)。なお、ヒダや傘肉部には油脂様の内容物を持った菌糸(gleohypha)がみられる。 次に切片をKOHでやや浸した後フロキシンを加え(i)、カバーグラスの上から消しゴムでゴシゴシやって、菌糸を解きほぐした。ピンクに染まって隔壁を持つ原菌糸、厚膜で隔壁を持たない骨格菌糸が見られる(j)。二菌糸型(dimitic)である。原菌糸にはクランプが見られる(k, l)。 ちょっと見た目にはイタチナミハタケのように見えるが、このきのこではヒダ実質が非アミロイドである。したがって、イタチナミハタケとは別種だろう。モノグラフ R. H. Petersen, K. W. Hughes 2004, A preliminary monograph of Lentinellus (Russulales), Belrin, Stuttgart などにあたっている時間はとれなかった。今日はこれから国営ひたち海浜公園で砂浜の菌類調査である。 |
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