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先月末採取したチャナメツムタケはすべて食べたと思っていたら、一本だけ冷蔵庫のなかで干からびた状態で残っていた。傘表皮は楽に剥がれ、傘肉は強靱になっていた。 ヒダを一枚切り出した(a)。ヒダ実質は並列型で、縁にも側にも多数のシスチジアがある(b)。胞子は内壁、外壁が明瞭にわかるが、発芽孔ははっきりしない(c)。KOHやアンモニアでマウントすると、多数のクリソシスチジア(黄金シスチジア)があることがわかる(d)。これはフロキシンを加えても明瞭にわかる(e)。側シスチジアにはクリソシスチジアではないものもあり(k)、フロキシンで内容物がピンクに染まる。クリソシスチジアと並んだ状態のものを撮影した(f)。 側シスチジアの先端付近に、ところどころ分泌物の様なものがついている(g, i)。メルツァー液ではその部分が特に黒っぽくなる(h)。フロキシンで濃いピンク色に染まった(j)。組織はどの部分をとってもクランプがみられ、多くの担子器基部にもクランプが見られる(l)。 とりあえずチャナメツムタケとしておいたが、いくつか疑問点がある。保育社の図鑑ではチャナメツムタケにPholiota lubricaという学名を与え、クリソシスチジアがあると記している。スイスの図鑑(Vol.4 336p.)では、Pholiota lubricaにはクリソシスチジアはないと書かれている。原記載にあたれば、なぜこうなったのかのヒントは得られるだろう。 いずれの図鑑にも、シスチジア先端付近の分泌物については触れていない。肝心のきのこはほとんど食べてしまった。ここで検鏡したサンプルは小さく干からびていたので、検鏡が済んだら捨ててしまった。変種ないし別種なのかもしれないが、もはや検証のすべはない。 |
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