2006年4月25日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 埼玉県小鹿野の林道で出会ったPsathyrella(ナヨタケ属)を覗いてみた。ヒダは最初、淡灰褐色だったが一晩経つと黒褐色になった(a)。胞子紋の採取には5分で十分で、一晩放置すると分厚い層になった(b)。傘の縁には被膜はなく、湿時条線があり乾くとほぼ白色で、頂部は粉状ではない。ヒダは直生で、柄の基部には白色の軟毛がある。
 ナヨタケ属のヒダ切片切り出しは難しい。一晩経たことが更に切り出しを困難にしていた。ヒダ実質はほぼ平行型(c)、倍率を上げると、側シスチジア(d)、担子器などが見える(e)。ヒダの先端には細長い熱気球のような形をした縁シスチジアが多数みられる。
 3%KOHで子実層をばらしフロキシンで染めた。担子器(f)、側シスチジア(g)、縁シスチジア(h)の観察にはこれが楽である。数個体の数ヶ所から、いくつものヒダを確認したが、いずれにも担子器の基部にクランプは見られない。
 傘表皮は、頂部も中間部も縁部もいずれも似たような構造で、洋梨型の組織が柵状に並んでいる(i)。胞子を水(j)、3%KOH(k)、濃硫酸(l)で封入して確認してみた。濃硫酸では膨潤し淡スレート色に変わるが、濃硫酸を使わず80〜70%程度の硫酸を使うと赤みが増すが、膨潤せず淡スレート色にもならない。Psathyrella pronaの変種あたりだろうか。

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