2006年6月18日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 きのこを検鏡する場合にピンセットの選択は重要である(a)。もちろん、耐熱性があり酸やアルカリに強いことは当然として、すぐに先端のかみ合わせが狂うようなものは論外である。ヒダや管孔をもったきのこを取り扱うときには、細身で先端が丸味を帯びたものを使っている(b)。内側に滑り止め用の溝を掘ったタイプも利用している(c)。
 一方、ケシボウズタケ属やヒメツチグリ属などの場合、孔口部の形状を崩さないよう、胞子・弾糸などの採取にあたっては、頭部の横っ腹にピンセットを突き刺してつまみ出している。標本をなるべく傷めないよう、先端が細くて鋭くとがったピンセットを使っている(d)。
 一度に多数を扱う場合には、その都度アルコールで拭き取って次の個体に移る。滑り止めの溝を切ったタイプでは、ていねいにエタノールで拭き取ったつもりでも、たいてい溝の部分に胞子が残ってしまう。一個体扱う都度に洗わなくてはならないので効率が悪い。
 それに対して、先端も鋭く内側も平滑なタイプはかなり使いやすい。ただ、いくら平滑に見えても、拡大して見ると無数のスジ状の凹凸がある(e)。いずれにせよ、頻用するピンセットは時々砥石で研いで使うことになる。

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