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薄片を切り出さないと顕微鏡観察の難しいものは多い。しかし、押し潰さないと観察の難しいものもある。シスチジアや担子器のサイズを測るには、薄切り切片では難しい。また担子器の基部のクランプの有無や、硬質菌の菌糸型の確認をするには、押し潰しによるプレパラートが必須となる。問題は、押し潰しをするときの力加減と方法だろう。 「押し潰し」とはいっても、組織を破壊してしまったり、形態を大幅に変えてしまっては、寸法を計測したりできない。押し潰す目的は、観察しやすいように組織をバラすことにある。したがって、組織をバラバラに分解しやすくするための工夫が必要となる。 水で封入したものに力を加えると、組織がバラされる前にペシャンコに潰れてしまう。したがって、押し潰し観察では基本的にKOHで封入することになる。3〜5%程度を使うが、硬質菌の菌糸型の確認であれば、10〜20%の方が楽なことも多いようだ。次に、カバーグラスの上から力を加える。組織を破裂せず、重なり合わぬよう、力の加え加減と方向に注意が必要となる。ふだんやっている方法を以下に記してみた。
最初に、上から軽く力を加える。これだけで組織がバラバラになるきのこもある。KOHの濃度を上げると、弱い力ですぐに全体がバラバラになる。その反面、シスチジア先端の結晶物等はすぐに溶けて消失してしまう。また、担子器の柄もKOH濃度によっては消失してしまう。 |
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