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絶版となっていた名著 勝本謙著『菌学ラテン語と命名法』(1996 日本菌学会関東支部) が、新たに電子版となって再版された(a)。菌類関係の論文を読んだり書いたりする人にとっては必須の文献として名高いが、きのこ初心者にとってもこれは非常に有用な書籍だった。 例えば、Tylopilus (ニガイグチ属) 学名があるが、これは "tylos" (こぶ) と "pilos" (帽子) というラテン語からできている。ここで、"tylos" という語彙を、普通のラテン語辞書で引いても見つからない。というのも、これはギリシャ語由来の語だからだ。 菌類やら植物の学名に用いられているラテン語には、ギリシャ語由来の語彙がとても多い。このため、これらの語の意味を知ろうと思えば、まず、ギリシャ文字で書かれたギリシャ語の辞書にあたり、次にアルファベットに置き換える作業が必要だ。このためには、α,β,・・・,ψ,ω等のギリシャ文字を読めて、ラテン文字への変換ルールを知っていることが必要だ。 しかし、この『菌学ラテン語と命名法』の辞書部には、そういった頻繁に使われるギリシャ語由来の語彙は "G:" と明示して英語と日本語で訳が記されている。だから、ギリシャ文字が読めない人にも、「ラテン語文法の概要」はいらないという人にも非常に役に立つ。
今回発刊された電子版では、前半部はPDFファイルとして提供され、後半の羅英和と和英羅の辞書は、「英辞郎形式」とCSV形式の両者で提供されている。ラテン語文法や国際植物命名規約などの部分をペーパーで読みたければ、PDFをプリントアウトすればよい。 |
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