2007年5月14日(月)
 
胞子の計測 (3)
 
 小さくて球形の胞子を持つきのこでは、胞子を観察する場合にはエタノールで封入している。水で封入すると、大きなかたまり状になってしまい、個々の胞子の観察はとても難しくなるからだ。その典型は、ケシボウズとかホコリタケ、ヒメツチグリなどの胞子観察だ。
 ただ、エタノールはすぐに揮発してしまう。したがって、接眼レンズを覗きながら、のんびりと胞子サイズをメモしたりしていると、数個ほど記録しただけで、たちまち観察困難となってしまう。したがって、エタノール封入の胞子を観察するには何らかの工夫が必要だ。

 正確に40〜60個の胞子サイズを計測するには、プリントアウトした画像を利用している。エタノールで封入したら、油浸100倍で輪郭部に焦点を合わせて直ちに撮影する。同一倍率で、対物ミクロメータも撮影する。これはプリントアウトしてから、セロハンに転写する。
 プリントアウトされた用紙上で、胞子の上にセロハン定規をあてて、サイズを計測する。エタノールの揮発を心配する必要がないから、計測にはいくら時間をかけてもよい。計測済みの胞子はマーカーで印をつける。これで、ダブル計測を避けることができる。
 注意するのは、画像をプリントアウトする場合、胞子画像の解像度と対物ミクロメータ画像の解像度を必ず同一にしておくことだ。また、計測にあたっては、光学的歪曲の少ない中央付近の画像を使うことだ。対物レンズがPlan系でない場合は、周辺の画像は必ず歪んでいる。これらを誤ると、ゼロからのやり直しとなってしまう。


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