2007年9月21日(金)
 
カワリハツ ?
 
 カワリハツには、多分、何度も出会っているのだろうけれど、いつも自信がもてない。今朝も近場の雑木林からそれらしききのこを持ち帰ってきた(a)。基本的にベニタケ科やチチタケ科には手を出さない方針だが、標本を残さない前提で、楽しむつもりで少しだけ観察してみた。
 図鑑にあるように、湿っているときは傘に軽い粘性があり、ヒダは白色でやや密、傘の縁部および中心部に向かって狭くなる(b)。傘表面には条線などはない(c)。柄は白色で上下同大または下方に向かって細くなる(d)。胞子紋は白色。
 胞子はおきまりのメルツァー試薬で封入する。類球形で表面には細かな疣と少数の連絡糸がある(e)。胞子サイズ・縦横比は複数図鑑に記された範囲とほぼ一致する。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ベニタケ科のきのこをを専門的にやっている人は6〜9種の試薬で呈色反応をみるらしい。面倒なので、硫酸第一鉄(FeSO4)、グアヤク(guaic)、フェノール(phenol)の3品だけしか使わない。胞子紋とる作業と同時に、傘表面とヒダに試薬をたらして20分ほど放置する。
 その間に、ヒダを切り出して(f)、ひだ実質の球形細胞をみたり(g)、縁シスチジア(h)や傘表皮(i)を確認することにしている。胞子、シスチジア、傘表皮は、カワリハツに似ている。これらの観察が終わる頃には、たいてい呈色反応が現れている。
 硫酸鉄をかけてしばらくは無反応だったが、時間経過とともにわずかに褐色味を帯びた(j)。グアヤクはかけるとすぐに緑青色にかわった(k)。フェノールは数分は無反応だが、5分ほど結果したあたりから急にワイン色に変わった(l)。
 カワリハツなら硫酸鉄でわずかに青変するという。問題のきのこはカワリハツではなく、チギレハツタケの可能性が高いことになる。観察済みのきのこは外でコナラ樹下に捨てた。

日( )
HOME