2007年9月29日()
 
検索表を使ってみた (1)
 
 ボロボロに崩れた広葉樹の切り株から、小さな汚褐色のきのこがでていた(a, b)。ふと気が向いたので、何となく持ち帰ってきた。過去に何度か見ている気はするが、まともに観察したことはなかった。したがって名前は知らない。名前が分かるかどうかは別としても、図鑑の検索表を利用すれば、少なくとも科名までは判明することが多い。やってみた。まずは観察からだ。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 たった1日で見た目が随分変化した(c)。変色性はなく特徴的な臭いはない。傘は径1〜2cm、円錐状丸山型で、縁に被膜の破片が付着し、表面に粘性はなく汚黄土色で、刺状〜粒状の消失しやすい鱗片に覆われる。ヒダは比較的密で、柄に上生し、縁は明色で微細な鋸歯状。柄は2.5〜3cm×2〜3mm、細い棒状で中実、上部に消失性のツバがあり、下部には傘表皮と似たような消失性の鱗片に覆われる(a〜d)。胞子紋は黄土色。ここまでは肉眼的観察。
 次に顕微鏡を覗いた。胞子は 7〜9×4〜5μm、楕円形〜ソラマメ形、平滑で発芽孔などはない(e)。ヒダを切り出してみた(f)。ヒダ実質は並列型で、側シスチジアはなく(g)、棍棒状の縁シスチジアがある(g)。縁シスチジアは束生し、先端が膨らみ、波打ったものが多い(h, k)。傘の表皮は球形細胞がほぼ柵状に並ぶ(i)。表皮の一部に色素粒を帯びた大きな薄膜の細胞があり、これが鱗片を構成している。柄の表皮細胞からはクランプを持った繊維状の組織からなり、一部に傘表皮と同様な大きな球形細胞が見られる。担子器には基部にクランプをもったもの、持たないものがある(l)。担子器と縁シスチジアは、3%KOHで軽く押し潰し、フロキシンで染めてみた(k, l)。

日( )
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