2008年7月12日(土) |
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一昨日狭山湖畔で採取したシロホウライタケ属菌を観察した。アシグロホウライタケの可能性が高いと感じていた。落葉や落枝から発生し、傘径は3〜8mm、柄は暗紫灰色で表面は白色の微粉に覆われる。現地では携帯顕微鏡で三角形にみえる胞子は確認したが、樹枝状のシスチジアを確認できなかった。そこで、昨日の雑記では「アシグロホウライタケ?」とした。
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
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一晩かけて胞子紋をとったが、すでにかなり乾燥しているせいか、カバーグラスに落ちた胞子は数えるほどしかなく、透明で見にくかった。フロキシンを加えると、急に鮮明になった(c)。異形の四面体をなしていて、まるでヒシの実やテトラポットを連想させられた。
半乾燥状態でクシャクシャになった傘を、そのままスライドグラスに載せて切った(d)。その後コットンブルーで子実層の側だけを染めた(e)。ヒダ実質は類並列型(f)。樹枝状の縁シスチジアがある(g)。フロキシンとKOHでヒダ先端を押し潰すと、シスチジアの姿が分かり易くなった(h)。
傘表面の構造ははっきりしない(i)。柄表面の白色微粉の正体は樹枝状の組織だ(j)。アシグロホウライタケに間違いなさそうだ。薄い傘肉にも(k)、柄表面にも(l)、ヒダ実質にも、クランプがある。ありふれた小さなきのこもミクロの世界では豊かな表情を見せてくれる。
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