2008年7月23日(水)
 
ドクベニタケの仲間
 
 去る20日に富士山から1本だけ持ち帰ったドクベニタケと思われるキノコを少しばかり調べてみた。ドクベニタケとされる Russula emetica にはいくつもの変種が報告されているが、写真の個体もそれらのうちのいずれかのようだ(a)。
 湿らすとカサ表皮には軽い粘性がある。傘周辺部にはわずかに溝線がある。表皮は簡単にはぎ取ることができ、その下の肉はやや紅色をしている(b)。現地で4種の試薬を使って呈色反応を確認した(c)。胞子紋をメルツァー液で封入してみた(d)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 ヒダの横断面を切ってみると(e)、どうやら縁シスチジア(f, h)、側シスチジア(g, i)があるようだ。フロキシンで染めてKOHで封入して押し潰してみると、それぞれのシスチジアの様子がよく分かった(h, i)。簡単にはぎ取れる傘表皮の正体を確かめた。これまた、色が薄くて見にくくなるので、フロキシンで染めてみた(j)。広義のドクベニタケとしてよさそうだ。

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