2008年10月3日(金) |
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明日からしばらく、上野の科学博物館で終日作業要員をつとめるので、きのこ観察に出かけたりじっくりと観察などはできなくなる。そこで、昨日東京都の水源地の一つである村山貯水池周辺の緑地を歩いてみた。野山北公園には安心して車を停められる場所がいくつもあるが、きのこはほとんど見られなかった。もっぱらハイキングのみとなった。
東大和公園の周辺には駐車スペースが全くない。あたりをさんざん走り回った末、結局パスして多摩湖周辺の駐車場に車を停めた。狭山緑地にはいろいろなきのこが見られた。マツオウジ(a)、ヒメカバイロタケ(b)、シロハツモドキ(c, d)、ツルタケ、フクロツルタケ、クサウラベニタケ、モリノカレバタケなど15〜20種を数えた。シロハツモドキはいたるところにみられた。
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雑木林でよくわからないきのこに出会った(e, f)。とても瑞々しく大きなきのこで、傘径は18cmほど、とても脆い(g)。ヒダは柄に垂生。ヒダは基部では粗く、何度か枝分かれし(h)、縁が濃褐色に彩られる。柄には網目状の隆起がありその節々に粒点がある(i)。
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(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
(l) |
(m) |
(n) |
(o) |
(p) |
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ヒダを一枚横断面で切り出してみた(j)。フロキシンで染めるまでもなくヒダ実質は並列型(k)。ヒダ切片の側をみると、子実層らしき構造がなく、たんに表皮組織があるのみ(l, m)。一晩経ても胞子紋は全く落ちなかった。落ちたのは線虫やら微細な虫ばかりだった。
ヒダをフロキシンで染めて、KOHで押し潰してみたが、胞子や担子器は全く見あたらず、なんとなく偽担子器のような構造のものがごくわずかにみられた(n)。どの部分にもクランプがあり、傘表皮の組織は細長い菌糸が匍匐している(o, p)。写真(p)には径2〜3μmの楕円形の粒子がみられるが、カサ表皮の一部にだけしかなく、このきのこの胞子ではなさそうだ。
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