2008年10月9日(木)
 
担子器は4胞子 or 2胞子?
 
 キツネタケ属のきのこを持ち帰ってきた(a)。ちょっと見にはオオキツネタケかキツネタケ、あるいはカレバキツネタケのようだ。柄の基部に紫色の菌糸はついていないから、オオキツネタケではなさそうだ。とりあえず胞子をみると、類球形(c, d)。ヒダを切り出して(e)、ヒダ実質(f)をみて、カサ表皮(g)、クランプを確認(h)した。
 キツネタケの分類では担子器が2胞子をつけるか、4胞子をつけるかがキーとなっている。しかし、これは簡単なようで、意外とむずかしい。ちょっと見た目には2胞子性にみえても、じっくり合焦位置を変えて観察すると、4胞子性だったりする。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(i')
(i')
(j)
(j)
(j')
(j')
 このきのこも、普通に顕微鏡を覗く限り、40倍対物レンズでは2胞子性にみえた。担子器柄が小さくて分かりづらいことも影響しているようだ。そこで油浸100 倍にして、いくつかの担子器に照準を合わせた。合焦位置を変えていくと、4胞子性であることが判明した。ここでは、そのうちから二つを掲載した。

 整理すると、このきのこは、4胞子性で、胞子は類球形となる。4胞子性か2胞子性という形質を最重視すると、キツネタケ Laccaria laccata に近いようだ。しかし、典型的なキツネタケであれば、胞子はやや扁平な球形だ。この変種には胞子が類球形のものがある。いずれにせよ、広義のキツネタケとしてよさそうだ。


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