2008年11月21日(金)
 
ムラサキシメジの胞子
 
 保育社の『原色日本新菌類図鑑』(1987)では、ムラサキシメジの胞子について「楕円形で微細ないぼにおおわれ」と記され(p.69)、検鏡図の胞子の描画には微細なイボが明瞭に描かれている。顕微鏡でみれば、すぐにでも微細ないぼが見えるのかというと、そうではない。
 今年10月に奈良県で採取した個体(a)と、11月に東京都で採取した個体(b)の両者で同じ条件の下で胞子を観察した状態を列挙した。胞子表面の微いぼを確認しようと水で封入してもよくわからない(b, b')。フロキシンで染めてもよくわからない(c, c')。
 ところが非アミロイドの確認をするためメルツァー試薬で封入すると、微細ないぼを捉えることができる(d, d')。とはいっても、対物40倍レンズでは無理で、油浸100倍を使わないとわからない。
 
2008/10/25
奈良県橿原市
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)

2008/11/15
東京都東大和市
(a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
(d')
(d')

  (e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 いわゆるドライで、コンデンサを絞ってコントラストを強くすると、胞子表面の微いぼを確認できる。ただ、この状態での撮影はうまくいかない。胞子紋の色(e)にしても、多量の胞子を落とさないと白色にしかみえない。胞子をサフラニンで染めてみたがやはり微いぼはわからない(f)。ヒダ実質の並列型や(g)、クランプの有無(h)は水道水で十分確認できる。

日( )
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