2009年4月29日(水) |
|
一昨日の日光では東照宮のある標高の低い地域で、サクラ樹下に広義のハルシメジが出ていた(a, b)。標本を持ち帰っていたので、気まぐれに顕微鏡で覗いて遊んだ。採取時はヒダはまだほとんど白色だったが、半日も経過するとすっかり淡桃色に変わっていた(c)。カサの頂部はイチメガサ状に軽く突出し、柄は中空で、ヒダは直生。柄の肉はグアヤク脂で青変しない。
|
|
(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
(l) |
|
胞子紋は淡いピンク。ドライマウント状態の胞子は角張った多面体だが(d)、水封するとこの仲間独特の姿が現れた(e)。しっかりしたきのこなのでヒダは楽に切り出せる(f)。フロキシンを加えると子実層が明瞭になった(g)。シスチジアはなく、ヒダ実質は並列型(h)。倍率を上げると、胞子をつけた担子器がみえた(i)。3%KOHで押しつぶしフロキシンで染めると担子器のサイズを計測したり基部のクランプ有無を確認しやすい(j)。
カサ上表皮は水で封入して見る限り、細い菌糸が平行に走っているだけだが、KOHで封入すると顕微鏡下でこの菌糸が立ち上がってくるのが分かる。コントラストが弱いのでこれもフロキシンで染めた(l)。図鑑などに掲載されているカサ表皮はKOHで封入したときの状態だ。
なお、このきのこは偽担子器の基部にはクランプがある。担子器の基部にクランプを持ったものも低い比率である。しかし、カサ表皮、カサ肉、ヒダ、柄のいずれにもクランプは見つからなかった。たぶん、基本的にクランプを持っていないのだろう。今日はきまぐれに、午後になってから顕微鏡を覗き、雑記をアップすることになった。
|
|