2009年5月13日(火) |
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公園の腐朽木からナヨタケ属のきのこが出ていた(a, b)。非常に脆くて紙袋に入れて持ち帰っただけで、大半はカサが割れ、柄は折れて、全体に潰れてしまっていた。現地で二つに縦断してみると、ヒダは上生で柄は中空だった(c)。コナヨタケに似ていると思った。乾燥するとカサの条線は消えほとんど白褐色となった。ヒダをルーペで見ると、縁にも側にもシスチジアがあるようだ(d)。胞子紋は暗紫褐色、胞子は褐色だが(e)、濃硫酸で紫色を帯びる(f)。
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
(k) |
(l) |
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実体鏡の下にカサをひっくり返して置き、カミソリで断面を切り出した(g)。ヒダを一枚ピスに挟んで、横断面を切り出そうとした。すると、カミソリがピスに触れただけでヒダは直ちにペシャンコに潰れてしまった。あらためて、スライドグラスにヒダを寝かせてカミソリで切った(h)。
縁シスチジアは棍棒形〜熱気球のような姿のものが多く(i)、側シスチジアはほとんどがフラスコ形〜紡錘形だ(j)。ヒダ実質は、錯綜型とも類並列型とも言い難い(k)。カサ表皮には類球形の細胞が柵状に並ぶ。切り出しにしくじると、カサ表皮は丸みを帯びた多層の偽柔組織のように見える。いずれにせよナヨタケ属のきのこだろう。
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