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8月2日、福島県土湯峠周辺の湿地で、せっかく間近にクマが現れたのに、カメラの設定が間に合わず撮影できなかった。そこで、帰路再度現れて消えたクマを再三待った(雑記2009.8.3)。近くに潜んでいる雰囲気で、周囲にはクマの足跡、黒い毛、新鮮な糞が残っていた。
不要な音を立てずに、耳をこらして静かに待つというのは、意外と退屈だ。手持ちぶさたなので、クマの足跡を目で追っていると、あちこちに赤色の Hygrocybe (アカヤマタケ属)のきのこが出ていた(a〜c)。カサにも柄にも粘性はなく、カサには微細な鱗片がある。
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保育社図鑑の検索表によれば、ベニヤマタケ節、ザラツキキヤマタケ亜節のきのこらしい。アカヌマベニタケだろうと思った。現地でわかるのはそこまでだった。帰宅してカバーグラスに落とした胞子を見ると、大小2つの胞子が入り交じっている(a)。コンタミ(contamination:汚染)だろうと、軽く考えて再度胞子を確認した。しかし、どのきのこにも、大小2つの胞子が入り交じっている(f)。非アミロイド(e)。アカヌマベニタケではなさそうだ。 子実層托実質は並列型(g)。子実層をよく見ると、担子器にも大小ある(h, i)。この時点で、ようやくネッタイベニヒガサ H. firma かもしれないと気づいた。あらためて、ヒダの一部を押しつぶして確認してみた。大きな担子器には大胞子が、小さな担子器には小胞子がつく(j, k)。カサ表皮は菌糸が平行に走っている(l)。ネッタイベニヒガサとしてよさそうだ。 今年は、すでに何度か目の前でクマに出会っているのに、一度も撮影できていない。35mmマクロレンズを装着、ミラーアップ、セルフタイマー、マニュアルフォーカスに設定した状態の時に限ってクマさんは目の前に現れる。こちらが笑って対面しても、慌ててすぐに逃げてしまう。さぁ、撮影してくださいと、待っていてくれるクマさんはなかなかいない(雑記2004.8.9)。 |
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