2009年10月22日(水) |
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狭山湖畔の緑地にはヒメワカフサタケが多数発生している(a〜c)。サケツバタケやヒメヒガサヒトヨタケなどウッドチップ生のきのこばかりのなかで、土から出ているわずかなきのこのひとつだ。ちょっと見たところアカヒダワカフサタケと紛らわしいが、独特の甘い臭気でそれと分かる。
採集袋に入れたまま一晩放置したところ、今朝になるとヒダの縁が乾燥して崩れている(d)。やや乾燥すると、甘い臭気はさらに強くなっていた。胞子紋もたっぷり落ちていた。胞子はレモン形〜アーモンド形で表面には微疣がある(e)。胞子を消毒用アルコールで封入するとまるで違った姿となり、表面の微疣はあいまいとなり、全体が透けてみえた(f)。
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 (a) |
 (b) |
 (c) |
 (d) |
 (e) |
 (f) |
 (g) |
 (h) |
 (i) |
 (j) |
 (k) |
 (l) |
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ヒダを切り出すと、懸念していたとおり縁が上手く切り出せない(g)。ヒダ実質は並行型で側シスチジアはない。あらためて、縁に重点を置いて切り、倍率を上げると縁シスチジアがみえた(h)。あらためてヒダを一枚スライドグラスにのせてフロキシンと3%KOHで縁をると、縁シスチジアが群生している(i, j)。カサ表皮には菌糸が匍匐し、菌糸表面には微疣や螺旋状の模様がみえる。いたるところにクランプがある。
同じ場所で外見のよく似たワカフサタケ属のきのこを梅雨の頃にしばしば見かける。梅雨の頃に出るものは、胞子の形やサイズこそそっくりだが、縁シスチジアの形がまるで異なり、ヒメワカフサタケではなかった(雑記2009.6.25)。
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