観察結果から、本標本はフユノスギカワキタケとしてよさそうだ。青木実氏が埼玉県南西部を主体に活動していたことを考慮すると、所沢から狭山地域では多数の人の目に触れてきたことだろう。先ほどあらためて、乾燥標本から(a, b)、柄の基部の表皮(c〜e)とカサ表皮(g〜i)を撮影した。カサ肉は薄く、カサ裏には一面に子実層が発達していて、そこにも頭部が球状になった長いシスチジアが多数みられた(j)。なお、柄の内部組織にもクランプがある(f)。
このきのこは、埼玉南部や東京都下で過去に何度も見ているが、採取して観察してみたのは今年が初めてだった。身近で毎年見るにも関わらず未だ「名無し」、そういうきのこが多数あるのがわが国の現状だ。このきのこは、幸いにも青木実氏、池田良幸氏という偉大なアマチュアによってすでに報告されていた。「きのこ雑記」運営者がそのことを知らなかっただけだった。和名としてスギシロホウライタケとフユノスギカワタケのいずれを採用するかという悩ましい問題はあるが、熱意あるアマチュアの手で新種(多分!)として報告されることを願うばかりだ。
Uさん、適切なアドバイスとコメントありがとうございました。
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