2010年7月19日()
 
再びヒカゲウラベニタケ
 
 数日前の多摩湖畔でもヒカゲウラベニタケがいくつも出ていた(a, b)。このきのこ、孤生を好むのか複数個体がまとまってでてくれない。先に川越の保護林で採取したものを観察しているが(雑記2010.7.13)、どうあがいても胞子の正面観の撮影がうまくいかなかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a, b) 子実体、(c) 胞子:ドライ、(d) 胞子:エタノール、(e) 胞子:グリセリン、(f) 胞子:水道水、(g) 胞子:濃硫酸、(h) ヒダ横断面、(i, j) 胞子をつけた担子器、(k) ヒダを寝かせて上から胞子を観察:合焦位置を変化、(l) カサ表皮:3%KOH

 胞子は封入液によって形が変わる(c〜g)。グリセリンではなぜか籾殻のようになり(e)、濃硫酸では全く姿を変えた(g)。多量の胞子紋をとったので、これを多めの封入液で全体を浮かせ気味にすれば、多数の胞子が縦を向いてくれるのではないか、との甘い期待があった。意に反して、立ち上がった状態の胞子は思いの外少なかった(青色矢印)。
 そこで、ヒダをスライドグラスに寝かせて、担子器を上から眺める形にしてみた。合焦位置を少しずつ下げて見ると、胞子の正面観が五角形〜六角形をしていることが明瞭にわかる。最近はほとんど使っていないが、これなどは、SEM(走査型電子顕微鏡)で撮影すれば、実にきれいで鮮やかな胞子の正面観と側面観を捉えることができるはずだ。

日( )
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