2010年11月25日(木)
 
ラテン語:定評ある教科書
 
 先日の続きになるが、ジュディス・E・ウィンストン[著] 馬渡俊輔・柁原 宏[訳]『種を記載する』の中で紹介される『Wheelock's Latin』はかなり高度なラテン語入門書だ。例文や練習問題にはChapter1, Chapter2 といった早い段階から Cicero や Seneca などの原文がふんだんに取り上げられる。まだ1/3ほどしか読んでいないが非常に良書だと思う。練習問題には解答例がないが、世界各国で広く教科書として使われているため、日本語も含めて練習問題の解答例がネット上にいくつもある(一例1一例2)。いずれじっくりと読んでみたい。
 小林標『独習者のための楽しく学ぶラテン語』は前述書の日本語版を意図して書き下ろされたような書籍。これも早い段階からキケロなど原典から例文をとりあげている。非常に格調高い優れた教科書だが、独習者にとってはかなりハードルが高い。例文には日本語訳がなく、練習問題には解答例がない。同じ筆者による『ラテン語の世界』(2006, 中公新書)は楽しく読めるが、初心者が独力でおしまいまで読み通すのにはかなりの忍耐と努力が必要そうだ。
 大西英文『はじめてのラテン語』(1997, 講談社現代新書)は安価に入手できて(940円)、ラテン語全般にわたっての優れた入門書になっている。たかだか300ページ以下の新書でここまで濃い内容には正直驚いた。新書だと思って侮ってかかるとえらいしっぺ返しを食らう。
 有田潤『初級ラテン語入門』で充分理解できないところは泉井久之助『ラテン広文典』で解決している。この3ヶ月間に副読本として目を通した入門書は上記3〜4点。他にも優れた入門書がいくつもあるらしい。退屈なラテン語入門の教科書への感想はこれでおしまい。

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