2011年10月13日(木)
 
センボン補足:断面の方向、子嚢先端
 
 昨日のY. A.によるセンボンキツネノサカズキについて(雑記2011.10.12)、少し補足しておくことにした。子嚢菌の常で、姿は大きくても成熟しているとは限らない。画像(a)の子実体の大部分は未成熟だった(e)。乾燥すると柄が細くなるが全体のサイズはそれほど変わらない(a, b)。
 子嚢盤(d)を縦方向(e, g, i)と横方向(f, h)に切って薄片を作ってみた。髄質は、縦切りにすると若い菌では伸長菌組織 textura porrecta に(e, g)、成菌では絡み合い菌組織 t. intricataに(i)、横切りにすると円形菌組織 t. globulosa ないし多角菌組織 t. angularis のように見える(f, h)。図鑑やモノグラフでは、縦切りにしたときの菌組織が記されているので注意が肝心だ。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 このきのこもベニチャワンタケ科のきのこゆえ、子嚢盤は強靱で、子嚢はやや厚膜で非アミロイド(j)。子嚢の蓋は子嚢の径に比して小さな円形で、先端からややずれた位置にあり(k, l)、じっとみているととても愛嬌がある。なお、子嚢はフロキシンで染まらないが、側糸はよく染まる。

日( )
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