2012年6月9日()
 
昨日のPluteus:補足と修正
 
 昨日ヒメベニヒダタケ(Pluteus nanus)としたきのこについて、Pluteus(ウラベニガサ属)に造詣の深いHさんから適切な指摘と意見をいただいた。
 それによれば、P. nanusではなく、Sec.hispidoderma(ベニヒダタケ節)に属する広義の P. plautus ではないか、さらに絞りこむならコゲチャベニヒダタケ(P. phaeocephalus)に極めて近いものではないかという。論拠として以下の五点が指摘されていた。
  1. ソーセージ形のカサシスチジアが立ち上がって柵状被をなしていること
  2. 側シスチジアが便腹〜フラスコ形の多形で一部内容物に淡い色素を持つこと
  3. 縁シスチジアは側シスチジアに類似するが色素を欠いていること
  4. 上記と同形の柄シスチジアを疎らに持つこと
  5. カサ表面中央部に脈状のしわを現すこと
 なお、4. について P. nanus なら明確なシスチジア形を示すことは極めてまれであり、5. について P. nanus はコブ状、であるという。
 そこで再検討してみると、確かにこれをヒメベニヒダタケとするのは過っている。あらたに、カサ表面とその表皮組織(b, d, e)、柄シスチジア(f, g, h)、側シスチジア(i〜l)などの検鏡写真を追加した。(b)は(a)の、(d, e)は(c)のかさ表皮。P. plautus ないしその近縁種と思われる。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 柄のシスチジア(g, h)はあらためて乾燥標本から撮影した。柄のシスチジアは、透明で縁シスチジアに似た形のものだとばかり思い込んでいたが、色素を帯びたものがかなりあることもわかった(g, h)。また、側シスチジアには確かに便腹〜フラスコ形で色々な姿形をしたものがある。
 Hさん、適切なご指摘ありがとうございます。

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