2014年7月19日() ゆえあって虫草の観察
 昨日は終日雨。近くの石森山を歩こうと思っていたのだが中止せざるを得なかった。そこで、冬虫夏草の検鏡写真の撮影作業をすることにした。期限までには一週間しかない。
 埼玉にいたときにはアワフキムシタケは比較的簡単に見つかった。しかし、いわき市に転居してからはこれまで一度も出会っていない。先週も川内村まで行って、以前アワフキムシタケがいくつも採取された場所を探したが結局見つけられなかった。そこで、福島県伊達市のKさんから送ってもらった乾燥標本(a)からプレパラートを作ることにした。
 結実部(b)を縦切りすると(c)、斜埋生型の子嚢果が現れた(c)。これを窓空きルーペの下において(d)、先の細い針で子嚢塊をつまみ出した(e)。水で封入するとコントラストが弱く、何が何だかよくわからない(g)。そこでフロキシンで染めると子嚢先端部が明瞭に捉えられた(h)。コットンブルーでもよく染まる(i)。二次胞子は両端が切型の長い紡錘形をしている(j)。先月発売された『冬虫夏草生態図鑑』(日本冬虫夏草の会 編著)にもきれいな検鏡図が掲載されている(f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 一般的に冬虫夏草の子嚢果の様子はルーペなり実体顕微鏡で簡単に分かる。しかし、古い標本では子嚢をほとんど放出してしまって、子嚢果の中が空っぽになっていることもある。そうなると、どうあがいても子嚢先端部の姿や胞子の姿を捉えるのが難しくなる。


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