ニクハリタケ:針の全周にわたってシスチジア | |||||||||||||||||||
真岡市の都市公園で古い広葉樹の伐採木に大型のSteccherinum(ニクハリタケ属)の仲間が多数着いていた(a〜g)。カサ表面には毛のあるものもあれば、ほとんど毛のないものもある。いずれにせよこの仲間の子実層托の針は独特で特徴的だ(e〜i)。ルーペで針の部分を拡大してみると、なんとなく針全体にわたってシスチジアがあるように見える(j)。 針の部分をやや薄切りにして顕微鏡で覗いてみた。針の先端部だけではなく、全体にわたってシスチジアが多数ある(k)。フロキシンで染めてもみた(l)。倍率を上げていくと、シスチジアの上半部は粒状結晶を帯びている(m〜o)。菌糸構造は二菌糸型のようだ(p)。シスチジアは紡錘形をしている(q)。原菌糸をいくら探してもクランプは見つからなかった(r)。 保育社図鑑(II)によれば、ニクハリタケ(S. ochraceum)ということになる。胞子は見つからなかったが、そのほかの記述をみると観察結果とほぼ符合する。肉眼的にはよく似たアラゲニクハリタケでは、シスチジアは針の先端付近にだけあって、形も紡錘型ではなく混紡型をしているという。また明瞭な下皮があるとされる。保育社図鑑ではクランプのことには触れていないが、一部の図鑑によれば、ニクハリタケにもアラゲニクハリタケにも、原菌糸にはクランプがあるという。しかし、ここで観察したニクハリタケに関していえば、複数の子実体ついて、カサ肉や毛、針など各部をいろいろと探してみたが、どこにもクランプはみつからなかった。 |
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今朝4:00の外気温はマイナス6度。昨日は県立博物館で楽しいひとときを過ごした。カベンタケの名で4〜5点の標本があったので、検鏡してその全てが子嚢菌のカベンタケモドキであることを確認して訂正を加えた。学芸員の皆さん、お世話になりました。ありがとうございました。 | |||||||||||||||||||
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