今月の4日に真岡市の井頭公園で採取したものの属名までも辿りつけずどうしたものかと思っていたキノコについての覚書。昨年11月4日の雑記で「Trichaptum(シハイタケ属) or Irpex(ウスバタケ属)」として未解決のキノコについて記したが、それに続く第二弾となる。ちなみに11月4日の雑記で取り上げたきのこはTrichaptumでもIrpexでもなく、ニクウスバタケ(Coriolus brevis)と判明したが、ここで取り上げたキノコは明らかにニクウスバタケとは異なる。
二週間ほどいろいろな文献を繰ってああでもないこうでもないと迷っていたが、とりあえず現状のまま観察結果を略記して標本を保存することにした。白色腐朽菌で、キノコ自体はやや背着生を帯び、カサ表面の基部にだけわずかに毛があり、子実層托の部分は顕著な薄歯状で、子実体断面(e)にもとくにこれといった特徴はない。菌糸構造は二菌糸型で、原菌糸にはクランプがある(g, h)。胞子は楕円形のようだが成熟時のサイズなどは不明だ(j)。多くの薄歯をみたが、顕著なシスチジアは見られなかった(i)。似通った種としてはウスバシハイタケ(T. fuscoviolaceum)とコゴメウスバタケ(I. parvulus)などがあるが、これといった決定打がない。
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