今年初のヒダ切片:マツカサキノコモドキ | |||||||||||||
那須野が原公園のマツ樹下では何も出ていなかったが、近所の家の落葉堆の中のマツボックリからカサと柄をもったキノコが出ていた(a, b)。カサが乾燥して白っぽくなっていたが、おそらくニセマツカサモドキかマツカサキノコモドキだろうと思った。柄の色が橙色をしているので(c, d)、多分マツカサキノコモドキだろうが、念のために調べてみることにした。 調べるといっても詳細な観察をするわけではない。ヒダのシスチジアとカサ表皮の構造、カサシスチジアの有無と形を見ればほぼ確実にマツカサキノコモドキか否かは分かる。 まずはヒダとカサ表皮を含めて薄片を切り出した(e)。軟質菌の切片を切り出すのは今年に入って初めてとなる。もう既に三月半ば。こんな時期になるまで軟質菌に出会えなかったなんて、川口市やいわき市に住んでいた頃には考えられないことだ。 ヒダの側シスチジアはやや厚壁で先端は綿くず状のものに覆われている(f〜h)。カサ上表皮は子実層状で(i〜j)、棒状のカサシスチジアがある(l)。胞子紋はとらなかったが、胞子を見るまでもないだろう。マツカサキノコモドキに間違いなさそうだ。 今年に入ってコケの観察を再開したこともあって、薄片切り出しには多少慣れてきた。とはいっても激しいレイノー症状のため、指先はなかなか思い通りに動いてくれない。でも、葉長0.3mm未満の葉の断面切り出しに比べれば、小さなキノコでもヒダを切り出すのはずっと楽だ。 |
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