2021年6月29日(火)  自力で生還できたが、これは山岳遭難だ
 今回の落石直撃に伴う事故(雑記2021.6.21)は、たまたまいくつかの偶然と幸運が幸いして何とか自力で生還できたが、ケガの程度が全身打撲と骨折だから、一般論でいえば「重症」の部類に入るだろう。これはまさに山岳遭難そのものだ。
 無事に生還できたのは、落石直撃の衝撃で谷底まで落ちなかったこと、落石が頭部や顔に当たらなかったこと、さらにリュックを介して肩や背に当たったこと、事故現場から庚申山荘までの岩壁通過部分が1Km弱と比較的短距離だったこと、全身打撲でも右脚と左腕が何とか使えたこと、などの偶然と強運の賜物といえる。

 落下地点から上を見上げた時、登山道まで這い上がるのは不可能に思えて絶望的な気持ちになった。ふと下を見ると岩壁は深く切れ落ちていた。呼吸すると胸が猛烈に痛み右腕には全く力が入らず、左腕からは出血、足腰は動かすと猛烈な痛みが走った。
 遭難したと思った。そしてすぐに湧き出してきた思いは、他人をあてにすべきではない。何が何でも自力で這い上がることだ。単独で山に入った以上はすべて自己責任。安直に救助に頼るべきでないといつも思ってきた。
 そう決意して動き出すと、凄まじい痛みを伴いつつも右腕が何とか使えた。30分ほどかかってやっとのことで登山道に戻ったが、庚申山荘まではまだ気の抜けない岩壁の道が続く。一歩一歩慎重に何とか前に進むことに全身全霊を集中した。
 庚申山荘が見えた時、心の底から喜びが湧いてきてホッとした。助かったと思った。しかし山荘で休んだら、二度と動けないのではあるまいかという不安が強く、そのまま下山を続けた。敗残兵の如き歩みだった。車に戻る途中何度か右肩と胸の痛みで意識を失いそうになったが、その都度左手で右肩を強く叩き激しい痛みで覚醒を促した。


 事故から9日経過。擦過傷や打撲による傷口の大部分が瘡蓋状態になってきた。両腕、両脚、腰、背中、肩などに十数ヵ所あって、今痒くて痒くてどうにもならない。夜中に知らず知らずのうちに掻きむしっているらしく、あちこちで瘡蓋が中途半端にはがれ小さな出血がある。昨日あたりから右腕上部から肩のあたりが腫れて熱を持つようになってきた。骨がくっつき始めた証か。右腕全体はまるでアトピー性皮膚炎のようだ。


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