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2017年5月9日(火) アミロイド反応:前処理の有無
 キツネノワン(a, b)を使ってアミロイド反応の現れ方の違いを確認してみた。メルツァー試薬を使う場合、本来は3%程度のKOH水溶液で前処理し、それを水洗いした後、そこではじめてメルツァー試薬で封入するのが基本的な使い方だ。水洗いを省略したり不十分だとアルカリと酸との中和反応で予期せぬ結晶が生じて検鏡に支障が出る。
 日常作業では普通いちいち面倒な前処理をしないで、最初から直接メルツァー試薬で封入するのが一般的だ。しかし鮮明な画像を得たければ前処理は欠かせない。
 以下に三通りのやりかたで子実層のアミロイド反応を試行した画像を並べた(A〜D)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(A) 水だけで封入 (c)
(c)
(d)
(d)
(B) 直接メルツァーで封入 (c')
(c')
(d')
(d')
(C) KOHで前処理の後にメルツァーで封入 (c'')
(c'')
(d'')
(d'')
(D) 上記の処理をした後にエタノールで洗浄 (c''')
(c''')
(d''')
(d''')
 キツネノワンの場合には(C)と(D)とでほとんど差がないが、きのこによっては(D)の処理をすると劇的に見え方が変わる。もっともふだんは(B)のやり方しかしていない。